前立腺疾患(前立腺肥大症)
前立腺について
前立腺は膀胱のすぐ下方、尿道を取り囲むように存在する臓器であり、精液の一部を作っています。
前立腺肥大とは
前立腺は正常であれば20g未満(クルミ大)ですが、加齢によって起こるホルモンバランスの変化、肥満・高血圧、高血糖、脂質異常症との関連などによって大きくなる(前立腺肥大)ことが知られています。
50代から大きくなってくると言われ、60代で70%、80代では90%が前立腺肥大になっていることが疫学調査からわかっていますが、実際に症状が出る人はその1/4程度と言われています。
前立腺肥大症の症状
尿が出にくいこと(排尿困難)、尿が近いこと(蓄尿困難)が主な症状です。
また、まれに排尿時の痛みを感じることもあります。
立腺肥大の薬物療法
症状や前立腺の大きさなどによって以下を使い分けます。
当院では主に薬物療法のコントロールをメインに行います。
前立腺肥大症そのものに対する薬剤(比較的長期的に使用し効果を得ます)
デュタステリド
前立腺肥大を促進させ、男性型脱毛(AGA)を促進するジヒドロテストステロン(DHT)を抑制します。
主な副作用に頭の毛が生えてくるなどがあり、AGA治療薬としても使用されます。
また、まれに乳房障害を認めます。
タダラフィル
骨盤内の血流を改善させる、血管内皮機能の改善、前立腺の炎症を改善させる、尿道を拡張させる、頻尿の経路をブロックするなどの働きがあります。
主な副作用に胃もたれ、頭痛、勃起などがあります。
自費診療の話にはなりますが2~4倍の量をED治療薬として使用することがあります。
症状に対する薬剤(比較的即効性があります)
α1ブロッカー
尿道を広げて楽に排尿できるようにする。
主に排尿困難に対して使用します。主な副作用に立ちくらみがあります。
β3受容体作動薬
膀胱の筋肉をリラックスさせ、蓄尿困難に対して使用します。
副作用はあまりありませんが、まれに排尿困難になったり、脈が速くなることがあります。
抗コリン薬
膀胱の筋肉の収縮を抑制し、蓄尿困難に対して使用します。
主な副作用に排尿困難、便秘、口渇があります。
前立腺肥大の手術療法
現在では主にレーザーを用い、肥大した前立腺をくり抜いたり、蒸散させる治療が一般的です。
電気メスを用いる治療法よりも出血量が少なく安全であるため入院期間が短縮している傾向があります。
当院では行うことはできませんが、手術療法の事前相談や手術のできる医療機関を紹介します。
ご希望の医療機関があればお申し出ください。
