男性更年期(LOH)症候群
現代における重要性
2021年の調査によると、中高年就労男性の約1割が更年期障害に苦しんでいるとされています。
このことから、現代社会においてLOH症候群の適切な診断と治療がますます重要となっています。
主な要因
加齢に伴う様々な機能変化の中で、生殖内分泌器官、特に精巣の老化が大きな要因です。
LOH症候群は、男性ホルモン(主にテストステロン)の低下に伴う多臓器機能障害として理解されています。
主な症状
以下のように、LOH症候群の症状は多岐にわたります。
- 全身倦怠感
- 性欲低下
- 筋力低下
- ED
- 集中力低下
- 不眠
- いらいら
- 早朝勃起の減少 など
テストステロン減少がもたらす影響
加齢によるテストステロンの減少は、以下のような影響を引き起こし、心血管疾患や糖尿病などの危険因子となります。
- 抑うつ状態
- 性機能低下
- 認知機能の低下
- 骨粗鬆症
- 心血管疾患
- 内臓脂肪の増加
- インスリン抵抗性の悪化
- 総コレステロール値とLDLコレステロール値の上昇
当院での診断と治療
当院では、LOH症候群が疑われる方に対して、以下の診断・治療を行っています。
1.男性ホルモン補充療法(TRT)
現在日本で唯一保険適用になっている薬剤は注射剤のみです。
そのため、症状がありテストステロン値が低下している場合、当院では注射剤による治療を行います。
具体的には、3~4週ごとの注射を開始し、改善状況に応じて間隔を延長、終了を目指します。
2.併用療法の検討
薬物療法
タダラフィルやデュタステリドを投与し、前立腺肥大症がある場合にも対応
漢方療法
柴胡加竜骨牡蛎湯などの使用による統合的治療
メンタルヘルスとの関連性
LOH症候群の症状は、うつ病や適応障害などのメンタルヘルス疾患と重なる場合があります。
これらの疾患との鑑別や、重複する場合の適切な治療のため、メンタルクリニックとの連携も大切です。
必要と感じる方は、先に専門医療機関をご受診いただけますと幸いです。
